本記事は、家を建てるときや工事を依頼する際に、ハウスメーカーと工務店どちらを選ぶべきなのか、
選び方はどうしたらよいのかと悩んでしまう方に向けた解説記事です。
新築を建てる際、価格帯や評判など選ぶポイントは様々なので、項目に分けて見てみましょう。
工務店とハウスメーカーそれぞれのメリットとデメリットも解説しておりますので、工務店とハウスメーカーどちらにするかの決め手が分からず悩んでしまうという方の参考になると幸いです。
前回の記事では「ハウスメーカーと工務店の価格差」について解説させていただきました。
価格差について知りたい方は、こちらも合わせて是非参考にしてみてください。
ハウスメーカーと工務店の価格差教えます!
【工務店とハウスメーカーの違いは?】
そもそも工務店とハウスメーカーの違いとはなんなのでしょうか?大きく言うと、会社の規模と対応エリアです。工務店は地域密着型で、プランや内容の自由度が高いのが特徴なのに対して、ハウスメーカーは全国展開をしていて規模が大きくメディア露出も高いので、企業名だけでも知っているという会社は多いかもしれません。
詳しくは【ハウスメーカーと工務店の違い】の記事にて解説しているので、合わせて参考にしていただければと思います。
「ハウスメーカーと工務店の違いは?メリットとデメリットを徹底比較!」
【工務店の選び方】
注文住宅を建てる時に、どういった会社に任せて、どうやって一緒に進めていくかということが最も大切になってきます。
工務店は地域密着型で、プランや内容の自由度が高いので、叶えたい要望や思いに寄り添ってくれるという点から
人気が高い傾向にあります。
地域に根ざした住宅作りをしておりますのでその地域の土地や景観にも詳しく、二人三脚で家づくりを進められるので、安心して任せられるという声も多いです。
そんな工務店を選ぶ際のポイントを7つ見てみましょう。
①経営状況がどれくらい安定しているか?
工務店はハウスメーカーと違い、決して「大手」というわけではありません。ですので経営状況が良好かどうかの確認が必要です。
例え素晴らしい施工の実績があったとしても、企業としての安定度が低ければ、後々のトラブル発生にも繋がりかねません。
完成までに工務店が倒産してしまうと、工事途中の家は完成させることができなくなってしまいます。
仮に完成後に倒産したとしても、アフターメンテナンスを受け続けられなかったり、満足のいくサービスが受けられない
可能性もあるので、最後まで安心した住まいが確保できるよう、しっかりと経営状況の確認が必要です。
工務店の安定度を確かめるには、「年間施工数」を確認すると分かりやすいです。
施工数が多ければ多いほど経営状況が良く、安定した経営をしているという証拠になります。
施工実績数が多く、又品質も高くある工務店は比較的安心しておまかせしても良いでしょう。
各地域の都道府県庁の窓口で建設業許可書類の決算書をチェックするのもオススメです。
家づくりは一生ものなので、安心して任せられるように、依頼する前に複数の工務店の実績のチェックや比較をして経営状況の安定度を確認しましょう。
②対応エリアが地域のどこまで抑えてあるか
依頼したい工務店が、希望するエリアに対応しているかどうかを確認する必要があります。
もし家を建てたいエリアに対応しているのであれば、工務店が住宅の建設地に近いかどうかもチェックする必要があります。
工務店と建設地が近いと現場の管理が行いやすく、管理コストを抑えることが可能です。
また、工務店は「地域密着型」を売りにしているので、良い噂も悪い噂もすべての評判が地元の評判に繋がります。
現場から近い工務店を選ぶことで、より責任を持って対応してくれる傾向があります。
他にも、なんらかのトラブル発生時にも素早く対応してもらえる近さだと、工事中や入居後も安心感があります。
大前提として住宅の完成度の高さはもちろんですが、その他の管理面やアフターメンテナンスなどにも
大いに影響する可能性があります。
③プランの多さや提案力の高さ
工務店は設計の自由度が高いので、その分プランの多さや提案力の高さが重要になってきます。
ありきたりな提案では、せっかくの「自由」というメリットが台無しです。
プランの提案力を確かめるには、工務店側の担当のスタッフがこちらの要望を聞き取る能力があるのかどうかを見極める必要があります。
こちらの要望を否定することなく、しっかりヒアリングし、自社のスタイルに合わせてプランを提案してくれるかどうか。
また、難しいものはうやむやにせず、はっきりと伝えていただいた上で現実的ではない要望に対しては代替案や修正案を提案してくれるかどうかといった点も大切です。
現実的に厳しい要望でも「できる」と回答してきてその後いつの間にか話が違ってしまったり、こちらの要望にそぐわない提案ばかりを押し付けてきたりするような工務店であれば、要注意です。
④自社施工かどうか 下請けを使っているかどうか
工務店の中には、契約だけを取って施工自体は下請け業者に任せるというスタンスの会社もあります。
自社施工であれば、工務店側に家づくりに関するすべてに責任能力があると判断できるので、事前に確認しておきましょう。
逆に、自社の能力・技術だけで家が建てられない工務店であれば、いざというときにも頼りにならないかもしれません。
実際の施工を下請け業者が行うというのは、大切な家づくりのクオリティやアフターメンテナンスにも不安が生じてしまいます。
安心して家を建てるためにも、できるだけ自社施工の会社を選んで依頼することをオススメします。
⑤技術力の高さ
工務店選びだけの話ではないかもしれませんが、結局のところ一番大切なのは、依頼する工務店の施工技術のクオリティの高さです。
建築士や施工管理技士など、技術や資格を有するスタッフが常駐していればクオリティの高さにも期待が持てます。
技術力を見極めるには、過去に手がけた建物や現在施工中の現場を見学するのがおすすめです。
完成された建物のデザインだけでなく、仕上げの丁寧さや正確さ、現場の整理整頓などにも目を向けてみてください。
表に見えていないところこそ、本当の意味での良い判断材料にできます。
⑥社長や担当者の人柄、雰囲気
工務店選びで重要視されるのが、工務店の社長や担当者の人柄や相性です。
家を完成させるまでに、工務店側との細かい打ち合わせを何度も行わないといけないうえに、入居後のメンテナンスや
トラブル発生の際には都度コミュニケーションを取り続けなければなりません。
その会社の社長や、直に連絡を取る担当者とはしっかりコミュニケーションが取れそうか、親身になって聞いてくれそうか、
相性は合いそうか、といった点を確認しておきましょう。
あまり会う機会のない社長や、一度会っただけの担当者の人柄が自分と合うのかどうか把握することは難しいことですが、今後長く関わる人の人間性は非常に大切です。時間や約束を守ってくれるか、レスポンスの早さはどうか、等を見ると良いかもしれません。
どれだけ素晴らしい経歴を持っていても、大きい工務店でも、言っていることとやっている事が違ったり、やりとりのレスポンスがとても遅い等不安を抱いてしまうような相手と長く付き合い続けるのは難しいので、細かくコミュニケーションが取れるかどうかの見極めが必要です。
⑦経営の理念が明確で得意分野があるか
最後に、他社と比較して工務店にどのようなこだわりや強みがあるのかを把握しておきましょう。
デザイン性が非常に高く、間取りや空間、デザインにこだわり重視している、無垢材など使う素材の品質にこだわりを持ち温かみのある家作りをしている、最新設備を常に整えスタイリッシュな家を提案している、など、自社特有の理念が明確な工務店を選びましょう。自分たちの建てたい家、理想に近い理念を持つ工務店を選ぶことで、計画段階からの認識のズレが少なく、満足度の高い家づくりに繋げることができます。
【工務店のメリットとデメリット】
ここまで工務店の選び方のポイントを説明して来ました。
ここでは、工務店に依頼する際のメリットとデメリットを纏めて説明していきます。
工務店のメリットとは?
工務店に施工を依頼する最大のメリットは地域に密着した会社特有の大手では難しい自由度とコスパに集約されると言っても過言ではありません。工務店を選ぼうと考えている方へメリットとデメリットを説明致しますので失敗しない家選びをする一つの参考になればと思います。
地域密着の自由度
ハウスメーカーと違い、工務店は地域で独立してやっているところが多いため、デザインや施工方法はそれぞれの工務店に委ねられており、使用する建材や建具も規格製品を使用せずに職人の手仕事を選択することも可能です、完全な自由設計による理想の住まい(注文住宅)を実現できます。
大手では難しいコスパ
工務店は会社規模が小さいため、完全な分業制をとっている会社は少ないです。その為社長が営業や職人を兼業しているようなところもあり、なるべく最低限の少ない人数で仕事を回しているために余計な人件費が削減されています。又、地域密着の為広告宣伝するエリアの限られており、テレビCMなどの宣伝広告費もかからないのでお客さまの予算を純粋に住宅本体にあてることができます。
以上の事から工務店はハウスメーカーに比べ価格を安い設定で提示出来る事が多いのです。
他に、地域密着でやっていることから、何かあった時の対応が迅速で、竣工後も長期に渡り関係を保つことができます。建てられた家に住む人のライフスタイルの変化に合わせて適宜空間を更新するなど、柔軟な対応が可能なことも工務店のならではメリットです。
工務店のデメリットとは?
工務店のデメリットとしては、品質にバラツキがあることです。こちらは工務店選びに失敗しない為の大きな注意点になります。社長の知識や経験、営業のレスポンスや接客能力、設計者のデザインや職人の技術力など、それぞれにおいて工務店ごとに差があることは否めません。また、前述した通り工務店は広告宣伝は比較的少ない為、ハウスメーカーに比べると情報発信が少なく、情報を集めにくいという側面もあります。ハウスメーカーであれば、住宅展示場などで注文住宅の完成物件を体験できますが、工務店が施工した物件を実際に体験することは難しく、完成後のイメージがわきにくいこともあるでしょう。そして、倒産リスクがあることはお伝えしなくてはなりません。工務店はハウスメーカーのように資金力は通常は持ち合わせておりませんので世の中の景気や社会情勢の影響を非常に受けやすく、ダイレクトに倒産に繋がってしまいます。優良な工務店を見極める際には「実績」「創業何年目か」など一定の信頼を得ている工務店を選ぶと良いでしょう。
【ハウスメーカーの選び方】
工務店の選び方のポイントや注意点などが分かったところで、
今度は良いハウスメーカーを選ぶ際のポイントも見ていきましょう。ここでは5つの項目に分けて解説していきます。
①住宅展示場だけで判断しない
ハウスメーカーを決める材料として、ほとんどの方が展示場やモデルルームの見学をします。
ここで盲点なのが、モデルハウスと実際に住むリアルな住宅は別物だということです。
住宅展示場にあるモデルハウスは、実際に建てる住宅よりも大きく設計されている場合が多いです。
モデルハウスと実際の住宅の大きさは、2倍程度、あるいはそれ以上の差があるといわれています。
住宅展示場のモデルハウスは60~80坪程度で、中には100坪以上のものが存在するのに対し、実際の注文住宅の
平均的な広さは、約38坪程度です。
実際のリアルな住まいはモデルハウスよりも狭くなることがほとんどなので、どこかでひずみが出てしまいます。
気になるメーカーに出会った際には、そのメーカーで建てたオーナー宅へ訪問したり、完成現場の見学を必ず行いましょう。
オーナーの自宅見学をすることで、より具体的な生活のイメージがつきますし、注文住宅を建てた際の感想や経験談などを
直接聞くチャンスです。
実際に住んでいる人の声が何よりも信頼できるので、なんとなくのイメージだけではなく現実的に考えることができます。
リアルな建物を見たあとに「この家がいい!」と思うことができれば、建てたあとの生活のイメージもより具体的に
できたということになるので、後々後悔するリスクも抑えやすいです。
特に二世帯住宅を検討している人は、両世帯の生活動線を確認するためにも実際の建物見学は必須です。
複数人の意見が飛び交うので、工事途中や完成後に「こうしたほうがよかった」とトラブルにならないように、
全員でしっかり話し合って決めましょう。
②着工後の変更が可能かどうか確認する
着工後の変更は内容によっては可能ですが、中には「着工後の変更は一切受け付けていない」というメーカーもあります。
着工後の変更対応を受けているかどうかは非常に重要なので、ハウスメーカーを選ぶ際に必ず担当者に確認しましょう。
また、変更が可能だったとしても着工後の変更を受けてもらう場合は、追加請求や工期の変更があることもあるので
要注意です。
着工後の変更で多いのが、壁紙がイメージと違った、窓の大きさや位置が合わない、コンセントの配置を変えたいなどの
細かい部分です。これらは、変更依頼のタイミングによっては対応してくれる場合が多いです。
例えハウスメーカーに「いつでもなんでも変更可能です」と言われたとしても、いざ変更となった際には、
「費用が変わる」「対応できない」という食い違いが起こることも少なくありません。
そのようなトラブルを避けるためにも、しっかりと確認したいポイントです。
③建築後の費用、アフターサービスを確認する
建築後の費用や、アフターサービス、保証についても契約前に確認しておきましょう。
家を建てたあとにも実はお金がかかってしまうので、しっかりと出費を把握しておくことでリスク回避ができます。
近年、ハウスメーカーでは独自のアフターサービスを実施していたり、充実の保証を付けていたりするケースが多いので、
ハウスメーカー選びでは必須の確認項目です。
④大工さんの質を見極める
契約をする前に、ハウスメーカーが契約している施工会社や大工さんなど、建築に関わる部分の情報収集も必ず行いましょう。
理想通りの良い家を建てるには、施工会社や大工さんの「質」が最も重要です。
腕の質を確認する際は、施工会社はメーカー独自の指定工事店制度で、大工さんは建築現場見学で確認するのがオススメです。
ハウスメーカーに施工中の現場見学を依頼することで、大工さんの腕を確認することができます。
施工の腕に自信がある大工さんや建築現場であれば、自信を持って見学に対応してもらえます。
その際に質問に応じてもらえることもあるので、実際に自分の目で見て判断できる絶好のチャンスです。
⑤担当者の人柄、雰囲気
工務店を選ぶポイントでも項目にありましたが、やはりハウスメーカー選びでも最も重要なのは、ハウスメーカーの
営業担当者の人柄です。
モデルルームを見て気に入ったとしても、営業担当者の人柄に疑問を覚えたり、うまく話が合わない、こちらの要望を
くみ取ってもらえないなどの理由で、契約を見送ることになったケースは非常に多いです。
「営業担当者がハウスメーカー選びを決める」といっても過言ではありません。
担当者をこちらで選ぶことは難しいですが、「細かい態度や話し方の雰囲気」「住宅建築の経験や知識が豊富かどうか」
「自分都合ではなくお客様の目線で考えているか」「清潔感があるか」などをしっかり確認しましょう。
これから長く付き合うことになる担当者なので、後悔のないように自分自身で見極める必要があります。
見極めるポイントとして、以下の6点に注意しましょう。
1 ヒアリング能力が高い
2 提案力や対応力がある
3 過去の実績、経験が豊富
4 実際にマイホームを購入した経験がある
5 メリットだけではなく、デメリットもしっかり説明してくれる
6 身だしなみをきれいにしている
これらのポイントを活用し、信頼できる営業担当者かどうかを確認しましょう。
【ハウスメーカーのメリットとデメリット】
ハウスメーカーのメリットとは
ハウスメーカーのメリットとしては、注文住宅はじめ、建てる家の品質が安定していることです。メーカーブランドのイメージを保つために、全国一律で優良な一定品質の家を提供できることがハウスメーカーの強みです。大量生産の規格製品を使っているので施工がし易く、不具合が起こった際の交換対応など、その後のメンテナンスも保証されている場合が多いです。施工がマニュアル化されているので職人の技術によってバラツキが出ないのもハウスメーカーの利点です。そして、ハウスメーカーには資本力と豊富な人材に下支えされた安定した経営体制があります。よほどのことが無い限り会社は何十年と存続するので、何かあった時の対応先が長く保証されています。
ハウスメーカーのデメリットとは
ハウスメーカーのデメリットとしては、均質な施工とひきかえにデザインの自由度がないことです。ハウスメーカーには、会社ごとにデザインの仕様や製品の規格があるため、細かい部分で制約が多いことは注意点であると言えるでしょう。また、分業ゆえにスタッフ間でコミュニケーションの乖離が起こりやすい傾向があります。やりとりする窓口が営業担当者に一本化されているので、営業担当者がこちらの意向を十分に理解していなければ設計者や職人に希望が正しく伝わらないことがあります。そして、間違いなくコストは高いです。ハウスメーカーの住宅価格の中には、担当営業の給料、展示場のモデルハウスの建設費、維持費、TVCMやWebなどの広告宣伝費などが含まれているので、建物本体に加えてこれらがプラスされた金額となってしまうのです。このような仕組みを理解した上で、あらためて自分にあったハウスメーカーを探しながら比較してみるとよいでしょう。
【それでもハウスメーカーか工務店か迷ったらコチラ!】
以上がハウスメーカーと工務店のそれぞれの特徴やメリットデメリットになります。
違いはなんとなくご理解いただけましたでしょうか。
一生に一度の買い物、失敗しないようにしたいので悩まれると思います。
悩んだ時はこんな部分をポイントに検討してみてはいかがでしょうか。
絶対に失敗はしたくない!安心感の一定品質ならハウスメーカー
全国展開をしている大手ハウスメーカーの魅力はなんと言ってもブランド力と安心感。
品質やサービスも一定のレベルが保たれているので安心です。
経営基盤がしっかりしているので、建てた後のアフターフォローも長く任せられます。
安心して住み続けるためにも大切なことですよね。
時間もかけて拘りたい、オンリー1の注文住宅を作りたいなら工務店
工務店の魅力は、やはり地域密着サービスとプランの自由度。
間取りやデザイン、設備、内装、建具など、初めからすべて自由に考え、担当者と一緒にこだわりの家を作り上げることができるでしょう。
建築資材も自由なため部屋によって雰囲気を変えたり、こだわりたい場所にはコストをかけて、あまり重視しない場所にはコストを下げた資材を使うなど工夫もできます。
【まとめ】
工務店とハウスメーカーの選び方について解説してきました。
信頼できる企業を見つけるには、技術はもちろん、人柄や自分との相性もとても重要になってきます。
大切な家づくりなので、安心して任せられる会社に出逢えますように。
少しでも参考にしていただき、最適な選択のお手伝いができれば幸いです。